神経学的音楽療法(Neurologic Music Therapy: NMT)とは?

 感覚運動領域  発話言語領域  認知領域

1990年代後半,音楽と脳神経機能の関係から,神経疾患を原因とする感覚運動機能・発話言語機能・認知機能の障害に対して,音楽の諸要素を手段として治療的介入を図るというもので,コロラド州立大学のMichael H. Thaut博士をはじめ,pudre Valley 病院の神経内科医であるGerald C. McIntosh,音楽療法士であるSarah B jonson,理学療法士であるRuth R Rice,生体力学者であるGary P Kenyon らのコラボレーションにより始まった。
 
Poudre Valley
Hospital
 

NMTは,感覚運動領域・発話言語領域・認知領域の3領域19技法で体系化されている.どの技法がどの神経疾患のどの障害に対し有効であり,または適用時注意が必要であるかについては今も研究が続いており,随時,更新されている.

NMT3領域19技法
NMTの3領域にわたる19技法で体系化されているが、技法として確立検証されていないものがある。そのためこのHPでは各技法についての最新の研究論文を可能な限り随時更新していきたいと思う.

  NMTはEBMが既に確立しているの?
NMTは、 World Federation of NeuroRehabilitationにより医学上認められており,独自のCPTコードがあり,アメリカでは診療報酬の対象である.  
NMTの技法によっては、全てが既に確立している臨床方法論というわけでは無く,現在も年に2回のNMTの研修とフェロー研修がコロラド州立大学で行われており,療法士は互いの臨床でのビデオを持ち寄りフィードバックし合い、また学会発表や論文投稿を通してより最適なアプローチについて現在も模索し続けており,NMTのHPにおいても随時新しい論文や発表が更新されている.NMTを臨床に適用する療法士は,そのマニュアルのみに盲従することなく,自らの臨床経験を通して,客観的に効果と適応,限界を知って用いることが必要である.1999年以降,2011年現在24ヶ国の約2000名の以上の療法士や教育者がNMTの研修を既に受講しており(内150名は他種職),1500名以上が神経学的音楽療法士として登録し,内250名が神経学的音楽療法フェローの資格を有する.現在,10の大学でフェロー資格者によりNMTが教えられている.
 NMTの研修は?
  現在、NMTの「神経学的音楽療法士(fellow)」の資格は、コロラド州立大学で、年2回行われる4日間30時間の「Neurologic Music Therapy International Training Institute(神経学的音楽療法国際研修会)」で研修後、NMTアカデミー会員になり、その後、3年以内に16時間の「Neurologic Music Therapy Fellowship Training(神経学的音楽療法フェローシップ・トレーニング)」を受講し、NMT実践場面(最低2領域における技法使用)の映像3事例のプレゼンテーションを行い、参加者全員の投票で称号授与の適否が決定される。そして、5年ごとに、資格継続トレーニング受講する必要がある。
(参考:2009年現在、米国音楽療法協会AMTAのメンバーは総数2000名弱で、その半分の1000名あまりがNMTを受講)
 科学的な論理根拠を構築するための仲介モデル(R-SMM)
 R-SMM(Rational-Scientific Mediating Model)は、音楽療法士が臨床で実感した音楽療法の効果の科学的根拠について説明する際、以下の4つの段階による科学的根拠が必要であるということを示したモデルある.NMTの19の技法全てが下記の4段階全ての研究段階を経ているわけではなく,またRASで示されるように一つの技法においても各疾患の各時期により効果的である結果があれば効果がないもしくは注意が必要という結果がある.
 
変換デザインモデル(TDM)
 TDM(Transformational Design model)は,音楽療法士が音楽療法を実施する際,以下の段階を踏むことにより,その介入が療法として意味ある物であったかを確認するためのものである.